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相続財産管理に信託活用

信託を活用した相続税対策がイメージできる画像

 

知的障害者・認知症患者に有効

相続の手法として「信託」が注目されています。
財産を親族に託して、契約に基づいて使ってもらう仕組みです。

 

知的障害者や認知症の人など、財産管理が難しい人を守るために有効な方法といえます。

 


障害者の生活保障

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障害者の生活保障のために《事例》

80代の男性は、知的障害がある40代の一人娘と二人暮らしです。
「自分が死んだら、全財産は娘に行くことになっていますが、娘は計算をすることも困難です。もしだまされたりしたら。。。」と心配していました。

 

しかし、数年前に、60代の甥と信託契約を結んだことで、不安が減りました。

 

信託とは、特定の目的のために財産を信頼できる人に託すことです。財産を預ける「委託者」、預かる「受託者」、財産から利益を得る「受益者」の3者が介在します。
受託者は、委託者と契約に従い受益者に利益を与える義務を負います。

 

80代の男性の場合では、甥が受託者となり、不動産を売るなどして財産を取り崩しながら、まず男性(80代)に生活費を支給します。

 

80代の男性は委託者であり、受益者です。将来、この80代の男性が死亡すると受益者が娘に変わり、生活費は娘に支給されます。

 

契約が守られるかどうかは、第三者が「受益者代理人」となってチェックします。受益者代理人には、受託者に財産目録を作らせたり、定期的に見せてもらったりする権限があります。

 

信託をすると財産の名義は受託者の甥に変わります。しかし、税法上、財産は受益者の男性のものとみなされて贈与税は発生しません。
男性の死後、受益者が娘に移ると相続税の対象となります。


認知症への備え

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信託の活用例

認知症で判断能力が損なわれる前に、財産の使い方を決めておこうと信託を活用する例もあります。

 

75歳の女性は夫と死別し、子供がいません。認知症になったら施設に入りたいと考え、今年、甥に自宅を信託しました。

 

認知症になった時点で甥が自宅を売却し、施設入居費にあてるよう契約で決めています。

 

認知症の人には成年後見人制度も活用できますが、後見人は本人が判断能力を失った後に付くので、この施設に入りたい、といった意向が十分に反映されないことも起こりうります。

 

信託は、死後の財産管理に、自分の意思を反映させるのに有効な方法といえます。

 

遺言は生前なら書き換え可能なため、判断能力が衰えてから内容を撤回させられる危険性もあります。信託は契約行為のため、こうした撤回が難しいとされています。


受託者をどう選ぶか、、、

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受託者を誰に?

親族を受託者とする信託は、「家族信託」や「民事信託」などと呼ばれ、2006年の信託法改正で広く利用できるようになりました。

 

弁護士事務所には障害者の親からの相談も多いですが、最近では一般的な相続にも信託を活用したいという例も増えています。

 

最大の課題は、受託者をどう選ぶかということです。親族といえども、不正や財産の流用が起こらないよう、しっかりと見極める必要があります。
弁護士や司法書士が、仕事として受託者になることは法律で禁じられています。また、チェック役の受益者代理人を付けるかどうかは任意です。

 

信託銀行が取り扱う商品を使えば、銀行が受託者となるので安心感は高いですが、託すことができる財産は基本的に現金のみとなります。

 

老後や死後の財産管理について、成年後見や遺言以外の選択肢があるのはいいことです。ただ、どの制度がいいかは人それぞれですから専門家とよく相談することが必要です。


信託銀行の遺言代用信託

信託銀行の遺言代用信託がイメージできる画像

 

老後に備えた資産管理の手段として、信託銀行を利用する人が増えてきています。

 

自分には縁遠いと思っている人も多いですが、最近は、「人生100年時代」に合わせた商品もあり、選択肢の一つになりそうです。

 

信託銀行の活用

信託銀行は、預金や貸し付けなどの銀行業務に加えて、土地なども含め託された資産の管理や運用、不動産の売買の仲介なども手掛けています。

 

信託銀行には、様々なサービスがありますが、全般として、資産に関するサービスを提供してくれるところ、と考えていいでしょう。銀行の中には、信託銀行とは名乗っていなくても、信託業務の免許を取得しているところもあります。

 

遺言書の作成や執行サポート、相続の手続き代行といった遺産整理も手掛けていることから、信託銀行は資産家が利用する、といったイメージが強いです。

 

しかし、老後の人生が長くなる中、ある程度のまとまったお金があれば、相続対策に限らず、自らの老後を支えたり、守ったりしてもらえるサービスが登場してきました。

 

その一例として挙げられるのが、「遺言代用信託」です。

 

信託銀行は、顧客から託された財産を運用し、顧客の存命中は、2ヶ月に一度、など事前に決めたタイミングで、決めた金額を本人に支払います。

 

顧客が死亡してからは、配偶者など事前に指定しておいた人に、一時金や年金という形で支払います。年金の支給がない月に受け取るといったやり方で、老後の生活を経済的に安定させることができます。

 

この種の商品の多くは元本保証型で、預けたうち、1,000万円までの元本と利息が保証されています。

 

遺言代用信託は、老後と死後の両方をにらんだ対策ができることから、商品として取り扱う信託銀行が増えています。一般社団法人信託協会によると、2012年度末に125件だった受託件数は、2019年9月末時点で約17万5000件まで増加しました。

 

配偶者を一人残すことが心配な方に向いています。相続だけが目的ではないので、家族が利用を勧めやすいのも特徴の一つです。

 

なお、これまでは、預金口座の名義人が死亡すると、遺産分割が終わるまで凍結されることから、葬儀などにかかる費用を確保する目的で、遺言代用信託を利用する人も多くいました。
しかし、2019年の民法改正で、相続人は遺産分割前でも預金額の3分の1に法定相続割合をかけた金額を引き出せるようになりました。

 

同じ金融機関では、150万円が上限となりますが、葬儀費用などに充てることができます。

 

贈与の手続き代行も〜暦年贈与信託〜

信託銀行には遺言代用信託のほかにも、老後に備えたさまざまな商品があります。

 

暦年贈与信託は、贈与税非課税枠(年間110万円)を利用した商品です。資産を預かった信託銀行が、子供や孫への贈与の手続きを毎年、代行してくれます。2015年の相続税増税で注目が集まりました。

 

教育資金贈与信託は、孫などへの教育資金贈与の非課税枠(1,500万円)を利用した商品です。

 

例えば、祖父母は贈与する孫の名義で、2021年3月までに専用口座を開いて入金します。孫は教育費の領収書などを提出して引き出す仕組みで、節税と同時に確実に教育資金に使ってもらうことができます。

 

結婚、子育て支援信託も同様に、1,000万円の非課税枠を利用して、孫などに結婚や出産、子育てに必要なお金を贈与できます。

 

ただ、相続や生前贈与に関する制度は複雑なので、思わぬトラブルを避けるため、専門家に相談するなど事前の準備を欠かさないようにしましょう。


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相続税の申告代理件数など具体的な実績を確認するほか、相続を専門に取り扱っているスタッフが複数在籍している税理士事務所を選ぶことが大切です。

様々な選択肢の中から最善の対策を実施するためにも、経験豊富な相続税専門の税理士に早めに相談することが大切です。

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