相続財産 介護 世話 看病 寄与分 遺言書

相続対策に少しでもお悩みがあるなら!


・将来の相続が不安だ
・事前に何をしておけばいいの?
・相続税がどのくらいかかるの?
・相続で兄弟とモメたりしない?
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そんなお悩みがある方は相続税専門の税理士に相談してみて下さい!

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特定の者に財産を多く相続させたい

相続でもめないためにも遺言書作成がイメージできる画像

 

介護してくれた夫婦に財産を

民法では相続人の範囲や法定相続分が定められています。

 

例えば、法定相続人には、常に配偶者がなります。それ以外の人では、直系卑属といって子供や孫が優先順位第1位になり、直系尊属と呼ばれる親や祖父母が第2位に、次に兄弟姉妹が優先順位第3位の相続人になります。

 

そして、それぞれの法定相続分が決まっていますが、実際には自分に尽くしてくれた人には多く相続させたいと思うものです。
今回、相続税専門の税理士に相談に来られた方も、そういったケースでした。

 

 

X:相談者 相談者:妻Yさんとは死別
Y:相談者の妻 Xの妻:すでに死亡
A:XとYの子 長男:健在
B:XとYの子 次男:健在
C:XとYの子 長女:健在

 

Xさん(当時73歳)は、奥様のYさんを亡くした後、体調を崩し、約10年間入退院を繰り返していました。Xさんには、長男のAさん、次男のBさん、長女のCさんの3人のお子様がいます。

 

 3人ともすでに結婚され、家庭を持たれています。Xさんの闘病中は、同居している長男夫婦が面倒を見てくれて、年金で不足する医療費なども出してくれました。

 

そこで、Xさんは、自分の遺産のうち遺留分相当額を次男のBさんと長女のCさんに渡して、後は長男に相続させたいと考えていました。遺留分とは、法定相続人が最低限相続できる額として法律で定められている割合のことです。

 

Xさんの場合、奥様Yさんはすでに亡くなっているので、3人のお子様たちが法定相続人になり、それぞれの遺留分は6分の1になります。最低限の相続として遺留分を渡したいが、それ以外は面倒を見てくれた長男のAさんに渡したいという気持ちはよくわかります。

 

一方、長男のAさんも「自分が親の面倒を見てきたのだから、弟や妹よりも多くの遺産を相続できるはずだ」と考えていました。そこで、Xさんは長男のAさんと話し合って、その上で相談に来られました。

 

長男のAさんがそう思う背景には、次男のBさんだけが大学に進学したということと、妹のCさんが遠方に嫁ぐときには、盛大な結婚式を挙げて、立派な嫁入り道具の費用もXさんが準備した、とう事情があります。

 

弟のBさんの進学、妹のCさんの結婚費用としてそれぞれ1000万円程をXさんが出しているのですが、長男のAさんからすれば、弟と妹はすでに親から財産を受け取ったも同然だと考えておられるわけです。

 

そのために、相続財産の額は減額されるべきだと主張されています。これは、法律的にも「特別受益」として認められていることです。

 

特別受益とは、生前に結婚や養子縁組の費用を出してもらった、あるいは住宅購入の費用や高額な学費を出してもらったなどを指し、今回のケースも特別受益に該当します。

 


寄与分でモメた事例

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寄与分に対して法定相続分を盾にして兄弟が反発

Xさんの相続財産は、自宅と土地(約2,000万円の評価)、株式(300万円)、預貯金(2,200)万円になります。

 

このまま何もせずにXさんが死亡すると、遺産は基本的に3人のお子様に均等に分けることになります。法定相続分は3分の1ずつなので、弟のBさんと妹のCさんはそれを受け取る権利があると主張して当然です。

 

一方、長男のAさんは、親の看病をしてきたので、これを理由に「寄与分」として主張できます。寄与分とは、特別の貢献(寄与)をしてくれた人には、それに値する分を相続分として増やすことです。

 

しかし、いくら長男Aさんが、弟と妹の特別受益を主張し、またAさんへの寄与分があったとしても、法定相続分を盾に兄弟から反発される可能性はあります。

 

遺産総額は、4,500万円で、3等分すると1,500万円ずつになりますが、自宅の土地と建物は現物なので分けることができません。Xさんも長男のAさんも遺産分割のために自宅を手放すことは避けたいと考えています。

 

Xさんの希望で、自宅の土地と建物は長男のAさんに相続させたいとのことです。そこで、残りの株と預貯金を不満が残らない形で想像できる方法を考える必要があります。


公正証書遺言を作成する

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公正証書遺言を作成して希望する分け方を記載

Xさんは、入院中でしたが、幸い認知症などもなく意識がはっきりとされていました。そこで病院で遺言を書いてもらうようアドバイスをしました。

 

Xさんは、遺言書に闘病中の面倒を見てくれた長男Aさんに自宅の土地と建物と預貯金1000万円を相続させること、次男のBさんと長女のCさんには株式と預貯金1200万円を半分ずつ相続させることを記すことにしました。

 

この場合の遺留分は、法定相続分の2分の1になります。つまり、弟のBさん、妹のCさんの遺留分は2分の1×3分の1=6分の1となり、それぞれが4500万円の6分の1の750万円ずつになります。

 

BさんとCさんは、株式と預貯金でそれぞれ750万円ずつ相続することになりますので、Xさんの遺言はBさんとCさんの遺留分を侵害していません。その結果、長男Aさんは自宅の2000万円と預貯金の1000万円を相続できることになります。

 

公正証書遺言作成のポイント

公正証書遺言は、公証人に遺言の内容を口頭で述べて遺言書を作成してもらいます。
公証人は、全国の主な都市に設けられた公証役場で執務しています。
公正証書遺言を作成しようと思ったら、まず遺言しようとする内容をはっきりと決めるようにしましょう。

 

《事前準備》
 まず、遺言の内容をはっきり決めましょう。土地や建物を相続させる場合には、地番や地積等を間違えると登記ができなくなることもありますので、登記簿謄本を準備します。

 

立会人として証人2名が必要です。あらかじめ依頼しておかなければなりません。

 

そのほかに、遺言者の実印と印鑑証明書1通、証人2人の認印、遺言者や相続人の戸籍謄本、遺言により財産を譲り受ける人(受遺者)の住民票などを準備します。

 

《証人とその条件》
未成年者、遺言者の推定相続人、受遺者、それらの配偶者や直系血族は証人にはなれません。
証人は、遺言者が口頭で述べた遺言内容を理解し、公証人の筆記が正解であることを証明し、遺言書に署名しなければなりません。よって、聴覚や視覚に障害がある人、署名できない人も証人にはなれません。

 

《証人が見つからない場合》
 証人は遺言の作成に立ち会うわけですから、遺言者の財産状況から家族関係まで、きわめて個人的なことを知られてしまいます。よって、誰に証人を依頼するのかは難しい問題です。

 

仲の良い遺贈者の兄弟や、信頼できる友人のほか、顧問弁護士や税理士などの守秘義務がある専門家に依頼するのが一般的であります。どうしても適当な証人が思い当たらない場合には、公証人に相談して適当な人を依頼することもできます。

 

《作成場所》
遺言者と証人が公証役場に行って作成するのが一般的です。
遺言者が病気などで公証役場に行けない場合には、公証人に出張してもらい、遺言者の自宅や入院中の病院で作成してもらうことができます。また、執務時間外でも出張してもらうことができます。

 

ただし、出張してもらうと作成手数料が1.5倍かかり、日当や交通費を支払う必要があります。
公証役場とは、一般の人には聞きなれない言葉ですが、遺言や離婚、金銭貸借などに関する公正証書を作成するところです。そこでは、公証人と呼ばれる元検察官、裁判官、弁護士、法務局長などの法律実務家の中から、法務大臣に任命された公証人が仕事をしています。公証役場は全国に300箇所あります。

 

《必要書類》
 公正証書遺言を作成するために準備するものは次のとおりです。

 

遺言の原案と入手した必要書類のコピーを作っておき、作成日前にそのコピーを公証役場に送って、公正証書遺言の案を作成していただきます。事前に遺言案をFAXまたは郵送でもらうこともできますし、作成手数料の見積もり金額も教えてもらうことができます。

 

公正証書遺言書作成のために準備するもの

遺言者・受遺者の確認

@戸籍謄本(本人、相続人、受遺者)
A遺言者・・・印鑑証明書(3ヶ月以内)、実印(当日必要)
B受遺者・・・住民票(相続人の場合は不要)

証人(立会人)2人 住民票または運転免許証、認印(当日必要)
遺言執行者 立会不要 住民票または運転免許証
財産目録の作成

@不動産(土地・建物等)
 ⇒不動産登記簿謄本、固定資産税評価証明書
A預貯金・信託・公社債等
 ⇒通帳、証書、残高証明書など
B有価証券(投資信託、株式等)
 ⇒通帳、現物及び残高証明書
Cその他の財産(ゴルフ会員権、貴金属、絵画等)
 ⇒書類、現物、残高証明書、明細書
D債務(借入金、その他債務など
 ⇒借入金契約書、残高証明書

 

 

公正証書遺言を発見したら

公正証書遺言は原本が公証役場に保管されています。よって、遺言書が偽造される心配はありません。

 

したがって、封がされてある場合でも、開封しても差し支えありません。

 

遺言書は、遺産分割のために重要なものです。
遺言書の形式には、3種類あります。一般的には、自筆証書遺言と公正証書遺言がよく使われます。
遺言書があっても、必ずしも遺言者の遺志に従って財産が分配されるとは限りません。特に自筆証書遺言の場合は問題が生じることがあります。

 

自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認を受けなければなりません。
検認を受け、相続人の誰からも異議がない場合、遺言書を提示すれば、不動産等の相続登記は可能ですが、銀行に預金の払い戻しを請求しても、他の相続人全員の承諾書または遺産分割協議書を要求されることが一般的です。
これは、たとえ検認済であっても遺言の真偽をめぐって争いが生じるおそれがあるからです。

 

さらに、家庭裁判所が発行する検認済証明書に「相続人○○は、この遺言書の筆跡に疑義があると陳述した」などの記載があれば、不動産等の登記もできません。これは、法務局は権利を確定する機関ではなく確定した権利を公示する機関であるため、遺言自体に疑義があるものに権利確定させるわけにはいかないからです。

 

したがって、相続後のトラブルを避けるためにも「公正証書遺言」を作成しておくべきです。
公正証書遺言は公文書なので、家庭裁判所による検認手続きは不要です。遺産分割協議書がなくても登記の移転その他の財産の移転が可能です。

 

私文書である自筆証書遺言のような問題が生じるおそれはありません。遺言の効力をめぐつ争いを予防することができます。

 

【相続財産の内訳】

自宅(土地と建物) 2,000万円
300万円
預貯金 2,200万円
合計 4,500万円

 

【遺言がない場合】

長男A

次男B

長女C

法定相続分3分の1:1,500万円

法定相続分3分の1:1,500万円

法定相続分3分の1:1,500万円

 

【遺言がある場合】

長男A

次男B

長女C

3,000万円

自宅(土地建物)+預貯金1,000万円

750万円

株式150万円+預貯金600万円

750万円

株式150万円+預貯金600万円

※遺留分は全体の2分の1。それを3人で分けるため、次男Bさんと長女Cさんは750万円ずつとなります(4500万円×2分の1×3分の1=750万円)。


遺言書がなければ遺産分割調停でモメる

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遺言書がないと家庭裁判所で遺産分割調停でモメる

もし、Xさんが遺言を残さないまま亡くなると、兄弟で遺産をめぐって話し合いをすることになります。
これを遺産分割協議といいますが、分割にはいくつかの方法があります。

 

まずは、不動産は誰が、株式は誰が、、、と現物を個別に相続する「現物分割」という方法です。

 

相続財産の評価額に差がありますし、不公平感が残る上に、不動産など分けることができない財産がある場合にはモメる原因になります。

 

また、誰かが不動産を相続し、ほかの相続人にはそれに代わる現金などを支払う「代償分割」という方法もあります。この方法には現金が必要になります。

 

さらに、不動産を売却して現金化して相続人で分ける「対価分割」もありますが、自宅を売却しなければならず、現実的でありません。

 

遺産分割にはこのような方法がありますが、兄弟で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所で遺産分割の調停をすることになります。

 

そこで、今回のXさんのケースでいうと、長男が親の介護をしたという寄与分や次男と長女が進学や結婚で親の援助を受けた特別受益を考慮して話し合われます。
家庭裁判所では2人以上の調停委員が立ち合い、相続人のそれぞれの意見を聞いてくれます。場合によっては、事情を細かく聞き出して事実確認をしたり、適切なアドバイスをしたりすることもあります。そこでの話し合いがうまくいけば調停が成立し、「調停調書」に内容をまとめれてくれます。

 

しかし、話し合いがうまくいかない時には、審判が下されます。これはそれぞれの事情や財産内容を確認した上で審判官が分割方法を審判することで、強制的に遺産分割を行うことになります。

 

法律に則って手続きが進められますが、実際には家族の気持ちの中でシコリが残ることも多いです。それを避けるためにも遺言を書いておくことをおすすめします。

 

さらに、後の揉め事や家族間にシコリを残さないためにも、遺言書には被相続人の気持ちを付言事項として書いておくといいでしょう。これは遺言書に自分の気持ちを書いておくものです。

 

付言事項を書いておくことで、遺族が納得してトラブルを避けることができる場合もあります。

 

また、被相続人が死亡した後に遺言書を見た子供たちが、「自分の相続分が少ない」と不満に感じたり、ショックを受けたりしないように、日頃から遺産相続については話し合うことが大切です。


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