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親の所有資金で会社を設立
会社が不動産を購入
現金でもなく、不動産でもないのに評価を下げてから財産を贈与できるという方法があります。
親の所有する現金を出資して会社を設立します。そのままでは会社の株価は出資の時と変わりませんので、現預金で保有しているのと同じです。
そこで、会社の資金を利用して収益を生む不動産等の資産を購入し、会社が運営を行います。購入する賃貸物件はどこにあってもかまいませんが、できるだけ家賃収入の多額な優良物件がよいです。
ただし、相続開始後に物件を売却することもあるので、利回りだけでなく、将来売却しやすいものを購入することが大切です。
3年経過すると自社株式評価は下がる
3年経過すると自社株式評価は下がる
不動産等を購入した場合の不動産保有会社の株式評価は、土地・建物は相続税評価額で評価し、借入金を負債として債務控除します。
土地は、貸家建付地、建物は貸家評価となり、取得価額と比べると大きく下がることになります。
ただし、会社が新規取得した土地・建物の評価は個人と相違して、まだ3年規制が残ったままですので、取得して3年以内は取引価額により評価することになり効果がありません。
取得して3年経過後、相続税評価により評価できますので、効果が現れるようになってから株式を贈与することがポイントです。
自社株式の贈与
自社株式の贈与は手軽にできる
その結果、会社の株式が移動することになりますので、実体としては現金⇒不動産⇒株式という形で贈与したのと同じことになります。
株式という形で贈与すると、不動産の登記料等の手数料、登録免許税、不動産取得税等の税金もかかりません。
また、その後、会社の不動産等を売却し、その会社を清算してしまうと、その不動産は株主に払い戻されることになり、結果として現金で贈与したのと同じことになります。
この方法は、非常に難しくいろいろな手続きも必要になりますので、相続専門の税理士へ相談されることをおすすめ致します。
所有不動産を他の財産に組み替える
所有不動産を他の財産に組み替え
現在保有している財産の形態が次世代に引き継いでゆくにふさわしいかどうか、についてもしっかり検討し、場合によっては不動産の組み替えを検討することも必要かもしれません。
長い間、耕してきた農地ですが、高齢で耕作ができなくなり次世代は農業をしないにもかかわらず、立地条件から賃貸経営は不向きである場合、貸地で非常に低い地代しか回収できない場合などです。
先祖から引き継いだ土地を手放すことには抵抗があるものですが、遊休地は保有していても固定資産税というコストがかかるばかりです。
しかも、相続発生時には、自用地として高い評価のまま相続税の課税対象となってしまいます。思い切って売却して、他の不動産に組み替えることも考える必要があります。
ただし、売却すると譲渡益に対して国税・地方税を合わせて20%の譲渡税がかかります。
一方、もしその土地を物納できれば譲渡税はかかりませんので、有利不利をしっかりと検討しましょう。
保有し続けるか、譲渡して組み替えるか、の判断の基準としては、次のようなポイントがあります。
将来の値上がり可能性を検討する
土地の価格もようやく底値をついたかと言われ始めていますが、これから土地の価格が上昇するかどうかは、個別要因になってくるでしょう。
例えば、都心の一等地や人気の高級住宅街、鉄道や道路が新たに敷設されるなど、開発が予定される地域などです。
保有地の将来性についてしっかりと検討することが重要です。
物納可能性を検討する
相続税を土地で物納することも考えられますが、物納として国に収納してもらうには必要な要件を満たす必要があります。
例えば、貸地の場合、地代が安すぎたり、賃貸借契約書がなかったりすると物納を認めてもらえません。
貸家のように管理が必要とされる場合も、劣後財産として順番が後回しになります。安易に考えすぎないようにしましょう。
現況の評価と組み替え後の財産評価を比較検討する
上記の判断により売却を決断した土地の譲渡対価で、将来の財産価値の上昇を見込める所有地に賃貸建物を建設することを検討します。
ほとんどの場合、賃貸建物の相続税評価額は投資金額の30%〜40%になります。
つまり、譲渡税を控除した手取り金額で賃貸建物を建設することになり、大きく相続税評価額の引き下げ効果が見込まれます。組み替え前後の相続税評価額を計算し、どれくらいの相続税額引き下げ効果があるかを具体的に計算するようにしましょう。
不動産組み替えから相続発生まで長期間ある場合、賃貸建物を自己資金全額または一部借入金で取得すれば、収益が確保され金融資産が増えていくことが想定できます。
例えば、この増加した金融資産を長期にわたり、後継者等へ暦年贈与を行う財産移転対策と組み合わせれば高い効果が得られ、結果として、後継者が贈与された資金で相続税の納税をすることができるわけです。
事業用資産の買換え特例の活用
本来の譲渡税の2割の負担
所有期間が10年を超える農地や貸地、賃貸住宅用地、駐車場などの事業用不動産を2億円で売却して、別の所有地に2億円で賃貸住宅を建築したとします。
売却した土地の取得価額は1,000万円、仲介手数料その他の費用が1,000万円かかったとした場合には、次のとおりです。
個人の場合には、「9号買換え」に該当し、税金を繰り延べることができます。特定事業用資産の買換え特例の適用を受けなかった場合には、3,600万円の所得税・住民税が課税されますが、特例の適用を受けると720万円の税金で済みます。
《事業用資産の買換え特例の適用事例》
売却した土地
・取得価額 1,000万円
・譲渡費用他 1,000万円
・所有期間 10年超
(特例による所得税等の計算)
@収入金額
2億円×20%=4,000万円
A取得費・譲渡費用
2,000万円×20%=400万円
B譲渡所得税等
(@−A)×(15%+5%)=720万円
通常の所得税等の計算
(2億円−2,000万円)×(15%+5%)=3,600万円
課税の繰延べに注意
「事業用資産の買換え特例」は譲渡所得税・住民税の課税の繰延べです。
本来は取得した建物の取得価額をもとに減価償却として経費化します。この特例の適用を受けると、課税の繰延べの適用を受けた部分の取得費が圧縮されますので、その分減価償却費が少なく計上されることになり、結果として、その後の所得税・住民税が多くなります。
所得税は超過累進税率ですから、高額所得者の場合には譲渡税の合計税率20%が適用される方が有利になることもあります。
このような点も考慮して適用するかどうか考える必要があります。
買換え資産の範囲から300u未満の土地は除外
9号買換えは「事務所等の一定の建築物等の敷地の用に供されているもののうちその面積が300u以上のものに限定」されています。
したがって、分譲マンションの一室や戸建分譲住宅を取得して賃貸する、あるいは一棟売り投資物件などを取得する場合の建物や構築物については適用できますが、敷地が300u未満の場合の土地等の部分については、9号買換えの適用をできませんのでご注意下さい。
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